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経済

「監査法人」最近事情

海外支配に甘んじる「斜陽産業」

2019年7月号

 企業の健全な経営の礎となる財務の番人は、公認会計士のプロ集団である監査法人だ。
 しかし近年、その本来の役割から逸脱し、社会的な存在価値が問われる不祥事が絶えない。
 東芝の不適切な会計を巡り、新日本監査法人(当時)が処分を受けたことは記憶に新しい。あの一件は、監査業界の負の側面が表面化しただけ。直近では、着物の販売仲介と着付け教室を全国展開している日本和装ホールディングス(以下、日本和装)と、その監査を担当する監査法人トーマツが問題視された。そこから透けて見えるのは、監査業界の変質と苦境の現実だ。

監査先企業との癒着は相変わらず

 日本和装が自社株式の立会外分売を公表したのは二〇一八年五月十四日だった。東証二部上場である同社は一部への指定替えに向けた株式の流動性向上のために打ち出した。実際、その後、東証に「市場第一部指定申請」をしたが、東証が下した結論は「ノー」。審査を通じて、第一部どころか、上場企業の資質を疑われるデタラメ経営の実態が見えてきたからだ。
 それは、オーナー経・・・