三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

新・不養生のすすめ 第28話

老若男女「貧血」で弱る日本人
大西 睦子

2019年7月号

別に目新しい話でもないが、相変わらず日本人の貧血は深刻だ。貧血は、食糧不足の発展途上国はもちろん、飽食の先進国でも世界中の誰にでも起こりうる。とくに妊婦、幼児や子供が貧血を患いがちだが、日本では、生殖年齢で妊娠していない女性の貧血の多さも問題となっている。貧血は栄養と体の貧弱さの指標だ。疲れやすくエネルギーが低下し、運動時の息切れや頭痛、集中力不足、めまい、不眠などが起こる。ウーマノミクスといっても、働き盛りの女性が貧血では、生き生きと活躍するのは厳しいと思う。
 韓国ソウル大学校の研究者らの医学誌「PLOS ONE」の報告は興味深い。研究者らは、「人間の美しさの価値」という新しい概念により、韓国、中国と日本の文化の中で、女性が美しくなりたいと望む根本的な理由を調査した。すると韓国女性は「優越感」、中国女性は「自己開発」、日本人女性は「個性」という結論に至った。とくに、外見における競争は、韓国と日本でより熾烈で、個性を追求する日本人女性は、「サプリメントは外見を美しくする」と好んで利用している。
 ただし、サプリメントは貧血に効果はない。米アリゾナ大学栄養科学シンシ・・・