《地方金融の研究》富山銀行
「中沖ジュニア」常務就任の真意
2019年7月号
「中沖」の名を知らない県民は“もぐり”とさえ言われている。昨年六月に九十歳で死去した中沖豊前富山県知事―。一九八〇年から二〇〇四年まで六期二十四年にわたって県政に君臨した「超大物」で、政界引退後の〇五年には旭日大綬章も受章している。
知事在任中、中沖氏が心血を注いだとされるのが交通インフラの整備だ。富山空港のジェット化や北陸自動車道の建設促進など、その功績は「枚挙に暇がない」(県議会関係者)とされるが、なかでも最大の金字塔は新幹線の誘致・建設だろう。北陸新幹線建設促進同盟会会長として関係自治体や中央政官界などの間を東奔西走。「ミスター新幹線」の異名を取った。
県庁関係者の一人は「県の存在感を高めただけでなく、義理人情に溢れ、多くの県民に愛された」とも振り返る。
そんな中沖氏の遺族の一人が今年六月「凱旋帰郷」(自民党県連筋)を果たしたとあっては、地元政財界が俄かにかまびすしくなるのも当たり前か。次男の雄氏―で、みずほ証券の執行役員を三月退任。六月一日付で富山銀行に迎え入れられ、同二十七日の定時株主総会とその後の取締役・・・