シリコンバレー「新証券取引所」の衝撃
二十一世紀の資本主義の「実験場」
2019年7月号
「ロングターム証券取引所(LTSE)」。この耳慣れない取引所が米国の資本主義を変えるかもしれない。米証券取引委員会(SEC)は五月、シリコンバレー(サンフランシスコ)に拠点を置く同社に対して正式認可を下した。米国で十四番目の証券取引所となる。
LTSEが持つ最も特徴的なビジョンは、「長期議決権」の概念だ。株を保有する期間が長ければ長い程、議決権が増していくという仕組みである。社名に「ロングターム」と掲げていることからも分かるとおり、同取引所のビジネスの根幹を担う。LTSEは従来の取引所が抱える種々の問題を、このビジネスモデルで解決しようとしているのだ。
大物投資家がバックにつく
創業者のエリック・リース氏は起業家でありブロガー。一九七八年生まれの彼は、イェール大学在学中からこれまでにIT企業を三度立ち上げている。リース氏が自身の起業における経験を踏まえて出版した著書『リーンスタートアップ』はベストセラーとなった。
その彼が十年程前から新しい証券取引所についての構想を温め、一五年から具・・・
LTSEが持つ最も特徴的なビジョンは、「長期議決権」の概念だ。株を保有する期間が長ければ長い程、議決権が増していくという仕組みである。社名に「ロングターム」と掲げていることからも分かるとおり、同取引所のビジネスの根幹を担う。LTSEは従来の取引所が抱える種々の問題を、このビジネスモデルで解決しようとしているのだ。
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創業者のエリック・リース氏は起業家でありブロガー。一九七八年生まれの彼は、イェール大学在学中からこれまでにIT企業を三度立ち上げている。リース氏が自身の起業における経験を踏まえて出版した著書『リーンスタートアップ』はベストセラーとなった。
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