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政治

「ポスト安倍」菅義偉の野心と限界

《政界スキャン》

2019年7月号

「スガをどう思う?」
 だいぶ前から麻生太郎副総理兼財務相は、気心知れた政治家や官僚、ジャーナリストに、同じ問いを投げかける癖があったが、菅義偉官房長官が「令和おじさん」でブレークしてから、明らかにその頻度が上がった。
 もちろん悪口を言う者は一人もない。しかし、下手にほめると、への字の口がますますとんがる。模範的な答えは、長期政権を支えてきた手腕を称賛し、
「でも、総理にはなれませんね。本人も分かっていますよ」
 と結論づければいい。麻生氏は目を閉じてニヤッと笑い二度三度うなずくはずだ。
 もっとも菅氏は逆の質問を誰にもしないから、この神経戦は初めから麻生氏の負けである。
 それどころか、政権内の実力でも、菅氏がとうに麻生氏をしのいでいることは、誰も口に出さない「不都合な真実」だ。菅氏は記者会見で何度、麻生氏の尻ぬぐいをさせられてきたことか。だが、それを不満に思う菅氏ではない。貸しがかさめばそれだけ、麻生氏に文句を言わせない心理的優位性が強まるからだ。
 衆参同日選に直結する「解散政局」も、前のめりだった麻生氏をい・・・