米中が争う「海底ケーブル」覇権
情報通信の「生命線」巡る攻防
2019年7月号
米中の覇権争いの中、5G(第五世代移動通信システム)に代表される通信インフラ分野で混乱の渦中にある中国の「華為技術(ファーウェイ)」。同社が有望な子会社を手放したとして、関係者の間で話題になっている。
六月三日、ファーウェイは、子会社であるファーウェイ・マリーンを売却すると発表した。買収するのは中国・江蘇省に本部を置く江蘇亨通光電股份有限公司(ヘントン)という企業である。
マリーン社は二〇〇九年から、世界中のインターネットを結ぶ海底ケーブルの設置事業を行ってきた。現在、大陸間のインターネットのデータ・トラフィック(デジタルデータの行き来)は、九九%が海底に敷かれた光ケーブルを介して行われている。衛星よりも高速に大容量を運べるからだが、陸上でも光ケーブルがほとんどのデータを運んでおり、世界のインターネットを支えている。
このマリーン社の動きを注視していたのが、米国をはじめとする欧米の政府関係者だ。というのも、ファーウェイによる海底ケーブルのビジネスが、西側諸国の経済活動や安全保障に深刻な影響を与えかねないから。その懸念は今回の事業売却でも払拭されず、・・・
六月三日、ファーウェイは、子会社であるファーウェイ・マリーンを売却すると発表した。買収するのは中国・江蘇省に本部を置く江蘇亨通光電股份有限公司(ヘントン)という企業である。
マリーン社は二〇〇九年から、世界中のインターネットを結ぶ海底ケーブルの設置事業を行ってきた。現在、大陸間のインターネットのデータ・トラフィック(デジタルデータの行き来)は、九九%が海底に敷かれた光ケーブルを介して行われている。衛星よりも高速に大容量を運べるからだが、陸上でも光ケーブルがほとんどのデータを運んでおり、世界のインターネットを支えている。
このマリーン社の動きを注視していたのが、米国をはじめとする欧米の政府関係者だ。というのも、ファーウェイによる海底ケーブルのビジネスが、西側諸国の経済活動や安全保障に深刻な影響を与えかねないから。その懸念は今回の事業売却でも払拭されず、・・・