三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

政府広告で「懐柔」されるメディア

血税で消費増税「批判封じ」の経産省

2019年7月号

〈あなたのお店のレジは軽減税率に対応していますか?〉
 全国紙五紙の六月七日付朝刊に載った、こう問い掛けるカラー全面広告に気づいた読者は少なくないだろう。いや、全国紙だけではない。北海道から沖縄県の各地方紙に加え、経済紙、スポーツ紙に至るまで主要紙の紙面を一斉に飾ったのだ。
 同様の新聞広告は同十三日付、十八日付、二十四日付にも繰り返し掲載され、十七日からは民放テレビ五キー局などの十五秒スポットCM、民放AM・FMラジオ局の四十秒スポットCMの放送も始まった。最後は六月下旬発売の『週刊文春』『週刊新潮』など四誌にも一頁カラー広告を載せる周到さである。ほぼメディアを総嘗めにした一連の広告投下は、いったい何事なのか―。
 広告主は、経済産業省と同省所管の中小企業基盤整備機構。その予算は数十億円とされるが、足りなければ青天井で上乗せする力の入れようだった。ある新聞関係者はうなり声を上げる。
「これは明らかなメディア封じ。どこにも消費増税の批判はさせないという、官邸の意思表示だろう」

解散風を止めた“バラ撒き”広告・・・