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経済

野村證券「永井引責辞任」で包囲網

金融庁と官邸は「再編」も視野に

2019年7月号

五月二十八日に金融庁から業務改善命令を受けた野村證券は本当に体質を「改善」できるのか―。結論から言えば、否である。経営陣は反省のそぶりを見せるだけで、嵐が過ぎ去るのを待つのみ。社内のモラルは益々崩壊し、末期症状を呈している。しかし金融庁による断罪は始まったばかり。同庁は野村を血祭りに上げるべく特別シフトを敷いている。
 金融庁による処分が取り沙汰されていた五月二十四日の後場が引けた直後、十五時九分に野村證券の全国の支店長らに向けて一通のメールが送付された。本店の営業企画部長名義で出されたメールには、一連の問題を受けた対応についての指示が列挙されていた。東京証券取引所の市場区分見直しに関する情報を野村證券の営業マンが顧客に漏らした問題についてのものだが、メールに添付された顧客からの想定問答集は、「反省をしたフリ」をするためのマニュアルに過ぎない。
 入手した問答集をみると、「不適切な行為であったと、本事案を重く受けています」とする一方で「明確な法令違反との結論には至っておりません」と釈明させている。二〇一二年の増資インサイダー事件とは「性質が異なる」と誤魔化し、顧客を・・・