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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》NHK「政治部」

「政権広報機関」の哀れな内情

2019年6月号

 NHKの、しかも政治部と言えば、大手メディアにあって異形のエリート集団である。この日本で唯一にして最強の公共放送は、毎年度の予算と経営委員会委員の人事という組織の主柱を、国会承認という形で事実上、政府・与党に握られているからだ。それゆえ、メディアにとって必須の「権力監視」という役割の半面、政治権力との「癒着」という二律背反を内在する。現に今の政権では、全マスコミの中で安倍晋三首相に最も近いとされる政治部の岩田明子解説委員が特ダネを連発する一方で「政権広報官」と批判の的になって久しい。「みなさまのNHK」のキャッチフレーズとは裏腹に、国民から縁遠い伏魔殿である政治部の内実と来し方行く末を探る。
 岩田氏は、二〇〇〇年に首相に就任した森喜朗政権の時代から政治部に在籍している。全国紙記者によれば「彼女は官房副長官時代の安倍担当になる前から、さらに言えば、岡山放送局当時から特ダネ記者だった」。とはいえ、安倍政権が長期化し、首相本人との関係で岩田氏が突出している現実が「NHKの政治部の人事に歪みをもたらしている」(NHK関係者)ことも確かである。
 民主党政権時代、岩田氏は・・・