自民党「同日選シナリオ」の狡猾
衆参「両勝ち」への飽くなき欲望
2019年6月号
周到に仕組まれた衆参同日選に向けたシナリオが突如として姿を現した。永田町には解散風がジェット気流のように絶えず吹き続けている。が、様々な条件が揃わなければ本物の解散風は吹かない。ただし条件が揃うと瞬時に疾風となって吹き抜ける。今はそのつむじ風が吹く直前の状況にあると言っていい。もはや後戻りはないかもしれない。行き着く先は七月二十一日投開票の衆参同日選だ。
米大統領トランプの来日はまさしく「同日選近し」を実感させる大きな節目となった。トランプ来日翌日の五月二十六日の早朝から始まった異常な「接待漬け」は安倍の同日選への思惑をくっきりと浮かび上がらせた。ゴルフ、大相撲観戦、炉端焼……。規格外の「接待外交」によって野党は影すら見えなくなった。
中でも大相撲千秋楽の観戦は際立つ効果を上げた。トランプが夫人のメラニアとともに両国国技館に姿を見せると館内の観客は総立ち。案内役の首相安倍晋三と夫人の昭恵の四人は、十六人分の升席を改装して設置された特注の椅子に座って取組を五番観戦した。その後、安倍、トランプは土俵に上がって表彰式に臨んだ。・・・