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米中衝突は「エンドレス」

中国共産党が倒れるまで続く

2019年6月号

「文明の衝突」論まで飛び出てきた。米中貿易戦争は、その成り行きによっては日本経済が打撃を受けると日本の財界は気に病んでいるようだ。だが、いまの貿易摩擦は二〇一七年四月七日に習近平国家主席が訪米して、トランプ大統領との間で合意したはずの包括対話メカニズム内の交渉が、双方の思惑どおりに進まなくなっただけの話だ。が、対立は広い範囲に及ぶ。「中華民族二〇四九年再興の夢」という目的のもとに、南シナ海、東シナ海、インド洋などへの軍事的進出があり、一帯一路政策は「債務の罠」があちこちで問題になっているにもかかわらず、とどまるところを知らぬかのように進行している。その上、先端技術をかすめ取り、企業などにサイバー攻撃を行う。トランプ政権は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の製品禁輸に踏み切った。
 こうした喧噪の中で、米国事情に最も通じた専門家の一人である元駐米大使の藤崎一郎・中曽根世界平和研究所理事長は、最新の同研究所会報で、警世の一文を書いた。いまの米中関係は、中国が外部からの圧力に柔軟性を持っている。また、トランプ大統領が来年に大統領選を控えているという特殊な事情があるために発生・・・