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社会・文化

高級官僚「犯罪多発」が示す病巣

官邸一強が招いた霞が関の「窒息」

2019年6月号


 霞が関の劣化は、ついにここまできたか、と嘆息させる事件が起きた。経済産業省の若手職員が大量の覚醒剤を密輸し、省内で使用していたとして逮捕されたのだ。若手とはいえ、れっきとしたキャリア官僚が起こした前代未聞の不祥事に、いつもは多弁な経産官僚の口も重い。お隣の厚生労働省では、賃金課長という立場の幹部が韓国で酔って暴れて逮捕という醜態を演じた。天下りや接待漬け、報告書隠しやデータの改ざんなど職務に関する不祥事も事欠かない。権力が集中する霞が関には古くからこういった不祥事がつきものだが、今や官邸の御用聞きとなった官僚たちのストレスは、以前とは質の違ったものになりつつあるという。官邸一強の安倍政権が続く限り、霞が関の劣化も続きそうだ。

小間使いか「一発屋」か

「仕事のストレスで手を出した。この仕事が本当に好きなのか分からなくなった」
 なんとも情けない理由で覚醒剤に手を出して逮捕されたのは経産省自動車課の課長補佐、西田哲也容疑者。経産省は警視庁の家宅捜索を受け、西田容疑者の机からは六本の注射器が・・・