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連載

新・不養生のすすめ 第27話

意外に深刻「完璧主義」の弊害
大西 睦子

2019年6月号

 先日、初めて東京に旅した米国人の友人に、「日本人がみんな盛装しているのには驚いた。特に女性のヘアスタイル、服装、化粧。でも、どうして完璧に着飾るのだろうか?」と聞かれた。振り返ってみると、私がボストンに移住し研究を始めたとき、多くの女性は、それほど化粧をしておらず、ジーンズ、トレーナーやTシャツに運動靴などのカジュアルな姿に驚いた。そのうち私自身も、研究所に行くための装いなど気にならなくなった。友人には、「日本の文化。女性の完璧な装いは、社会人のマナーとして必須条件」と答えた。
 装いだけではない。私は日本に住んでいたとき、自分の体型や食事のカロリーを気にした。太ることに嫌悪感を抱いた。ところが渡米して、様々な体型の人を目にして、自分の体型をそのまま受け入れるようになった。ちなみに、経済協力開発機構(OECD)三十六カ国の中で、一番太っているのは米国人(肥満率四〇%)で、一番肥満率の低いのが日本人(四・二%)(二〇一六年以降のデータ)(表1)。米国で減量が話題になるのはわかるが、ほとんどの日本人は肥満を気にする必要はないと思う。
 一九九一年に、カナダのブリティッ・・・