三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

皇室の風 第130話

永田町の「オッチョコチョイ」
岩井 克己

2019年6月号

令和の新天皇が「即位後朝見の儀」で述べた「おことば」は、父・明仁上皇が平成二年の朝見の儀で初めての象徴天皇として述べた誓いの「おことば」から日本国憲法への思い入れが消し去られ、平成の象徴像を継承するとの明言も避けられた。誓いの内実がよく見えない、印象の薄いものとなったような気がしてならない。
【前段】顧みれば、上皇陛下には御即位より、三十年以上の長きにわたり、世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その強い御心を御自身のお姿でお示しになりつつ、一つ一つのお務めに真摯に取り組んでこられました。上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます。
【後段】ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します。
 前段で上皇が「強い御心を御自身のお・・・