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連載

本に遇う 第234話

天皇制を続けますか
河谷 史夫

2019年6月号

 元号発表、退位劇に即位劇とメディアの暑苦しい燥ぎようには参ったが、稀に初夏の風が吹くような記事がないではなかった。
 こどもの日の「天声人語」が、むかしTBSラジオで人気の「全国こども電話相談室」で「天皇陛下は就職しているんですか。それとも無職?」という質問があったと書いていた。「山びこ学校」の無着成恭や「天皇に着物を! 市民連合」(天着連)の永六輔、「老人党」のなだいなだといった錚々たる「先生」がいたはずだが、何と回答したかは触れてなかった。
 むかしまだボタ山が残っていた筑豊で聞いた話を思い出す。炭鉱が潰れて町に無職者があふれた。生活保護費の出る日には、役場にずらりと受給者が行列をつくる。係員が「お前ら、少しは働かんね。努力せにゃいかんばい」とお説教を垂れた。「なんば言いよっとか。天皇陛下も生活保護者やろもん。おれたちがもろうて、なに悪かとか?」と声が飛び、「そうや」「そうや」の連呼。どっと笑いが起きた、というのだった。
 係員は説明を省いたのかも知れない。天皇の仕事は憲法に定めがある。首相と最高裁長官の任命。それに①国会の召集②国務大臣の認証③栄典・・・