強欲バイオ企業 「モンサント」の落日
「発がん農薬」巨額賠償請求で苦境に
2019年6月号
長年の「論争」も、これで収束に向かうのだろうか。それとも、まだ騒動は続くのだろうか。二〇一八年六月にドイツの製薬大手・バイエルに買収されて子会社になるまで、米国ミズーリ州に本拠を置いていたバイオ・アグリビジネスの巨大企業・モンサントが販売する除草剤「ラウンドアップ」の安全性についてだ。
おそらくこの「ラウンドアップ」(及びその主要成分のグリフォサート)ほど、長年にわたり世界で安全性が論議されてきた商品は珍しい。一九七〇年に開発され、今や世界百六十カ国で年間約八十一億リットルというとてつもない量が散布されているにもかかわらず、その安全性についてはバイエル、モンサントやその随伴者のような様相を呈している米環境保護庁(EPA)と、一部の科学者や環境団体の評価は完全に食い違う。前者は「安全だ」と断じ、後者は「発がん性」を指摘する。
だが、カリフォルニア州サンフランシスコ連邦上級裁判所の陪審員裁判で一八年八月十日、画期的な評決が下された。学校の校庭整備員だったドウェイン・ジョンソンががんの一種、非ホジキンリンパ腫(NHL)におかされ、余命いくばくもない状態になったのは、・・・
おそらくこの「ラウンドアップ」(及びその主要成分のグリフォサート)ほど、長年にわたり世界で安全性が論議されてきた商品は珍しい。一九七〇年に開発され、今や世界百六十カ国で年間約八十一億リットルというとてつもない量が散布されているにもかかわらず、その安全性についてはバイエル、モンサントやその随伴者のような様相を呈している米環境保護庁(EPA)と、一部の科学者や環境団体の評価は完全に食い違う。前者は「安全だ」と断じ、後者は「発がん性」を指摘する。
だが、カリフォルニア州サンフランシスコ連邦上級裁判所の陪審員裁判で一八年八月十日、画期的な評決が下された。学校の校庭整備員だったドウェイン・ジョンソンががんの一種、非ホジキンリンパ腫(NHL)におかされ、余命いくばくもない状態になったのは、・・・