ドイツ経済は「難民」が推進力に
いまや人手不足解消の「救世主」
2019年6月号
ドイツに押し寄せた百万人以上の移民・難民が、ドイツ経済に貢献し始めた。近年の好況によって深刻になった人手不足を埋めている格好で、特に産業地帯や中小都市で「移民よ、来たれ」と、需要が高まっている。昨年の「反移民デモ」で広がった悲観的ムードは、がらりと変わりつつある。
移民・難民への期待を、最も雄弁に語ったのは、ドイツ経営者団体連合会(BDA)のインゴ・クラマー会長だ。昨年末、バイエルン州地方紙との会見で、「難民受け入れは、自分が予想したよりずっと早く進んでいる」と明言した。
同会長は、「二〇一五年以降にドイツにやってきた約百万人のうち、四十万人が就職、または見習い工のポストに就いている」とし、このペースに「自分もびっくりしている」と述べた。会長によると、ドイツ経済の屋台骨である中堅企業で特に、移民労働者への需要が堅調だという。
難民融合の秘訣は「徒弟制度」
この背景にあるのは、「徒弟制度」などとも呼ばれる、ドイツ特有の熟練工養成制度である。
若年労働者に必要な・・・