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政治

菅義偉は「首相の器」にあらず

《政界スキャン》

2019年5月号

「令和おじさん」こと菅義偉官房長官が「ポスト安倍」の筆頭に躍り出た。本人は「考えたこともない」と否定するが、野望をむき出しにしないから名前が浮上しているわけで、チャンスが到来したらあわよくば、と色気満々なのは間違いない。
 他の「ポスト安倍」候補たちは不甲斐なく、安倍晋三首相がつまずけば、今の政界で菅氏がひょっとすることは大いにあり得る。そこで、そろそろ真剣に考える時が来たようだ。菅氏は果たして首相の器たり得るのか。
 まず、刷り込みを正さなければならない。菅氏のプロフィールに必ず冠せられる
「秋田県の寒村から集団就職で上京した叩き上げの苦労人」
 という美談は、都会で一旗揚げるために作った虚像である。
 確かに父親は満州からの引き揚げだが、郷里でイチゴ栽培のブランド化に成功し、町会議員も務めた地元の名士。母親をはじめ叔父も叔母も二人の姉も全員教師という教育一家。不自由なく育った。
 ところが、菅氏は成績が振るわない。性格も地味で目立たない。父親に農家を継ぐよう勧められたが、とにかく田舎が嫌で、当てもなく上京したのが真相だ。{・・・