三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

新・不養生のすすめ 第26話

孤独をもっと楽しもう
大西 睦子

2019年5月号

 二〇一四年、シカゴ大学の心理学者ジョン・カシオポ博士らは、米科学振興協会の学会で、「極度の孤独は高齢者の早期死亡を一四%高める可能性がある、孤独が高齢者の健康を脅かす主要なリスクである」と指摘し、米国で大反響を呼んだ。その後も同様の結果が多く報告され、孤独は大きな社会問題として注目されている。日本でも、団塊世代が高齢期に入ったこともあり、一人暮らしの高齢者が増加するにつれ(左頁表)、中高年の孤独死が問題になっている。
 さらに最近、孤独は若者にまで広がっている。特にソーシャルメディアが登場してから、状況は悪化している。ピッツバーグ大学の研究者らは、一七年三月の「米予防医学ジャーナル」に、ソーシャルメディアを利用しすぎると、孤独感が高まるという報告を発表した。この研究は、十九〜三十二歳の一千七百八十七人を対象に、ソーシャルメディアの利用と孤独の関係を調査。結果、ソーシャルメディアを一日二時間以上利用した人は、三十分未満の人と比べ、二倍も孤独を感じることが判明した。また週五十八回以上利用した人は、週九回未満の人に比べ、孤独感が三倍以上高いことも分かった。
 もともと人・・・