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経済

「次の柱」が見つからぬ村田製作所 スマホ依存経営の危機が顕在化

2019年4月号

 中国のファーウェイから大口受注を獲得したと報じられた村田製作所が即日、「報道は当社の発表ではない」と全面否定した。ファーウェイはトランプ米政権ににらまれ、貿易摩擦の渦中。村田製作所の反応にはファーウェイと蜜月との印象を持たれたくないという思惑がにじむが、それでも中国大手メーカーに接近しなければならない苦悩を抱えているのも事実だ。
 村田製作所は米アップルのiP
honeはじめ、スマホ向け部品で高いシェアを誇るが、売上高の約四〇%がスマホ関連という依存度の高さがリスク。脱スマホ依存を掲げるものの「スマホ以外の市場開拓は不調」(業界関係者)。さらに、価格競争の激しい中国スマホメーカー向けの収益も伸び悩む。
 このため、電子部品の需要が高まる自動車向けの比率上昇を目指すが、自動運転に関わる高度な部品が大量に必要とされるのは数年後。いま使われている部品も先行メーカーが押さえており新規参入の余地は小さく、自動車向けを当て込めない。頼みのiPhoneも販売不振が続き、市場の頭打ちが現実化してきた。スマホに依存した体質の改善は容易ではない。・・・