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社会・文化

天皇が心許した「真のご学友」の死

沈黙を貫いた記者「松尾文夫」

2019年4月号

 天皇陛下の在位も残り二カ月余となった二月末、六十年来の親交を結んだご学友が亡くなった。
 元共同通信ワシントン支局長の松尾文夫氏(享年八十五)。本人は生前、決して天皇との交流を他言しなかったため、知る人ぞ知ると言うべきか。三月八日、東京・築地本願寺における盛大な葬儀で、天皇の侍従長を十年間務めた元外交官の渡邉允氏は会葬者に
「今だからこそ明かすが、陛下が最も心を許した本当のご学友」
 と語った。他のご学友には例のない最大級の弔辞に、破格の信頼のほどがうかがえる。天皇から遺族に特別の弔意も伝えられた。
 皇室報道には何人ものご学友が登場する。天皇に関する回想記も少なくない。しかし、彼らの語るエピソードのうち真実は学生時代の一部まで。在位中の発言などほとんどは「天皇のために良かれという善意からとはいえ、自分の勝手な解釈や誇張、創作が交じり、陛下は認めていない」(宮内庁幹部)というのが残念ながら実情だ。
 松尾氏と同じ元共同通信記者だった故橋本明氏は、学習院高等科卒業前、侍従に無断で皇太子と一緒に電車で銀座の喫茶店に出かけた「銀ブラ事件」の・・・