日本人は見事な「混血民族」だ
海部 陽介(人類進化学者)
2019年4月号
―日本人は、どこから来たのですか?
海部 人類はすべて、アフリカのホモ・サピエンスが起源だ。世界地図に各地の遺跡を重ねていくと、アジア大陸を西から東に移動してきたことが分かる。日本では、三万八千年前になって、人類遺跡が爆発的に現れる。この頃、やってきたのだろう。
ホモ・サピエンスがユーラシア大陸を移動する際、ヒマラヤ山脈の北側と南側のルートに分かれた。さらに現在のロシア・シベリアの北極圏まで移住したケースもあった。
最新の研究成果を総合すると、日本には、サハリンから、対馬から、そして台湾からの三つのルートで到達した。それぞれが複雑な歴史をたどり、今の日本列島の人々になった。
―どうやって来たのですか?
海部 四万~三万年前の日本は今より海面が八十メートルほど低く、瀬戸内海はなかった。本州と四国、九州は陸続きで「古本州島」と呼ばれている。
サハリンと北海道は陸続きで、北ルートはそのまま南下してきた。対馬と台湾からのルートは、・・・