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経済

JAL操縦士の疲弊と悲鳴

「安全より利益」稲盛経営の亡霊

2019年4月号

 JALフィロソフィ―。二〇一〇年に破綻した日本航空(JAL)が、再建の過程で打ち立てた経営哲学だ。民主党政権(当時)に送り込まれた稲盛和夫が集めた社内の精鋭が策定したもので、四十のお題目が並ぶ。その中には「お客さま視点を貫く」「尊い命をお預かりする仕事」という項目もあるが、これが実践されているかどうかは極めて怪しい。昨秋発覚した副操縦士飲酒問題はいまだに尾を引き、運航の安全を脅かしているのだ。原因は操縦士のモラルだけでなくJALの体質にある。
 本誌昨年十二月号「JAL『酒酔い操縦士』問題の病巣」が指摘した通り、飲酒問題は再び起きた。三月五日、JALのグループ会社であるジェイエアの副操縦士が、伊丹空港での飲酒検査をすり抜けていたことが発覚。また、一月にはやはりグループ会社の整備士が替え玉を使って飲酒検査を受けていたことも明るみに出た。

水面下に潜った「飲酒機長」

 しかし実は、三月に発覚した「検査すり抜け問題」については一カ月も前に社内で問題が指摘されていたにもかかわらず、会社側は対処をしてこなか・・・