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インドを悩ます中国の「テロ支援」

パキスタンに「肩入れ」する理由

2019年4月号

 インドのスシュマ・スワラージ外相は、怒りを顕わにこう言い放った。
「プルワマで起こったテロ事件後、パキスタンがジャイシュ・エ・ムハンマドに対して措置を講じることを十日間待っていたが、何もしなかった。我が国空軍がジャイシュのテロ訓練キャンプ地の特定爆撃を行った際に、あなた方(パキスタン当局)は報復しました。一体、誰に代わってあなた方は報復したのですか?」
「もしイムラン・カーン(パキスタン首相)が真の政治家で平和を望んでいるなら、(テロの首謀者)マスード・アズハルを我々に引き渡すはずだ」
 周知の通り、二月十四日にジャム・カシミール州のプルワマ地区で、インドの中央警察予備隊(CRPF)を狙った自爆テロ攻撃により、四十名が死亡し、パキスタンを拠点とするイスラム過激派「ジャイシュ・エ・ムハンマド(JeM)」が犯行声明を出した。パキスタン政府は、いつものようにテロ組織との関係を否定した。だが、同国諜報機関「軍統合情報部(ISI)」がJeMをはじめとしたカシミール紛争に関わるテロ組織に肩入れしている事実は、内外の安全保障専門家の間でコンセンサスとなっている。{br・・・