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中東から消えゆく「世俗主義」国家

危うい「イスラム教統治」への依存

2019年4月号

 トルコ政府がニュージーランド・クライストチャーチの惨劇現場に副大統領と外相を送れば、エジプト政府が「女性の権利拡大」を訴える―。人権侵害で悪名の高い両国がこんな動きを見せれば、その真意を疑った方がいい。
 どちらも最高権力者が、「イスラム教」を隠れ蓑に、権力基盤を固める動きである。かつては「世俗主義」を看板にした、中東のイスラム教国が今、いっせいに「イスラム教統治」に動いている。
 トルコのレジェップ・エルドアン大統領の口から飛び出す、最近の外国の地名は、クライストチャーチのほかに、エルサレムとミャンマーである。
 謎ときのような話だが、「イスラム教徒の苦難」が共通項で、イスラエルによるパレスチナ人の弾圧、イスラム教徒であるミャンマーのロヒンギャ族の難民化は、「イスラムの盟主」を目指すトルコにとって、看過できない大事件なのである。
 クライストチャーチには、オクタイ副大統領、チャウシオール外相を送り、イスラム教徒の大量虐殺を激しく糾弾した。
 一方、エジプトでは同時期、憲法修正論争の最中だった。
 最大の焦点は、現行の大統領・・・