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政治

「レガシー無し」の安倍長期政権

外交・内政「功績ゼロ」の侘しい宰相

2019年3月号

 首相安倍晋三にとって「最後通牒」を突き付けられたのも同じだった。二月十七日、北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援組織「救う会」の合同会議が北朝鮮の最高指導者金正恩宛てのメッセージをまとめた。
「全拉致被害者の即時一括帰国が実現すれば、国交正常化に反対する意思はない。帰国した被害者から秘密は聞き出さない」
 そこには「もはや残された時間は少ない、安倍政権頼むに足らず」との思いが滲む。被害者家族の高齢化が進み拉致被害者の横田めぐみの父、滋(八六)が公の場に姿を見せなくなって久しい。
 安倍は、昨年六月十二日の米大統領トランプと朝鮮労働党委員長金正恩との米朝首脳会談に際してトランプに何度も念を押した。
「米朝首脳会談で拉致問題を必ず取り上げて欲しい」
 これに対し、トランプも「一〇〇%保証する」と応じ、会談終了後に電話で安倍に拉致問題を取り上げたことを伝えた。さらに安倍側近の自民党幹事長代行の萩生田光一が、「金正恩が拉致問題は解決済みとは言わなかった」と安倍から聞いた話としてわざわざ記者団に披露したこともあった。安倍自身も米朝首脳会談から二・・・