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社会・文化

駒澤大学に忍び寄る「中国の影」

北海道系列校「無償譲渡」を巡る謎

2019年3月号

「マー君の高校が乗っ取られる」
 一月十九日に開かれた駒澤大学野球部創部七十周年を祝う会の席上、一部の参加者がこんな話をしていた。マー君とはニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手のことであり、彼の出身校、駒澤大学附属苫小牧高校が乗っ取られるというのだから話は穏やかではない。東京の明治記念館で開かれたこの会合に参加したのは野球部関係者やOBのプロ野球選手だけでなく、学校側関係者や同校の設立母体である宗教法人・曹洞宗の僧侶、関係者も多数いた。こうした学校関係者が警戒しているのは、忍び寄る「中国の影」。駒澤大学や曹洞宗の周辺でここ数年、中国がらみの出来事が相次いでおり、辿っていくとあるキーマンが浮かび上がるのだ。

中国・瀋陽と駒大を繋げる

 発端は二〇一七年一月、駒大が系列の苫小牧駒澤大学を学校法人京都育英館に無償譲渡することを決定したことだった。大学の定例理事会の冒頭に須川法昭理事長が突然、京都の学校法人に譲渡する内容の声明文を読み上げ始めた。出席者のほとんどは、当初何が起きているのかわからず、理事長の・・・