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社会・文化

医薬品審査を覆う「製薬マネー汚染」

「贈収賄まがい」を許す厚労省の宿弊

2019年3月号

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(薬食審)は、医薬品の審査・承認という役割を担っている。製薬企業サイドから見れば、この審議会の判断は、利潤の生殺与奪権を握っていると言っても過言ではない。大手製薬の社員は「一部の委員が追加資料を求め、数カ月承認が遅れれば、製薬企業にとっては数十億円の損失となる」と証言する。実は今、この薬食審による抗がん剤の認可を巡り、贈収賄まがいの行為が横行しているのだ。
 この薬食審はいわば親会議で、その下に薬事分科会、下部組織として各部会がある。医薬品の審査に限れば、大学教授や著名な医師など延べ百十一人が委員に任命されている。委員は全て非常勤の国家公務員であり、委員を退任した後も守秘義務が課される。それゆえ、製薬企業から金銭を授受している人物が委員に就任するなど論外なのだが、実態は全く異なる。

小野薬品、中外製薬の「お抱え」

 医療ガバナンス研究所などが作成した「マネーデータベース『製薬会社と医師』」によれば、百十一人の委員のうち五十三人が製薬企業から講演料などの名目でカネを受・・・