三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

日本の科学アラカルト 103

インフルエンザを抑え込め ウイルス検出技術の開発

2019年3月号

 今年のインフルエンザは過去最大級の猛威を振るった。感染者数は文字通り最大の二百二十二万人を突破し、一月末には全都道府県で「警報レベル」になって各地の学校では学級閉鎖が相次いだ。二月の中旬にはピークアウトしたものの、周囲で感染した人も多かったのではないか。
 インフルエンザ対策として最も有効なのは予防接種であることは論を俟たない。怪しげな民間予防術などがメディアを賑わし、ワクチン接種率は伸び悩んでいるが、感染したときの症状を和らげるためにもワクチン接種は有効である。一方でワクチンだけが対策ではなく、感染後、潜伏期間を経て発症した際の投薬や、それ以上の感染拡大を防ぐための方策も大切である。この際に、薬の有効性や適切な隔離などと並んで重要なのが「早期発見」だ。できる限り早く発見することで、投薬の効果がより期待できるほか、感染者に不必要にウイルスを周囲にばら撒かぬよう行動させることが可能だ。
 インフルエンザの検査といえば、鼻に棒状のものを入れる「イムノクロマト法」が有名だろう。「発熱して十二時間以上経たないとウイルスの数が少ないため、きちんと検出ができない」という話もよ・・・