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連載

皇室の風 第127話

君子危うきに近寄らず
岩井 克己

2019年3月号

「一言でいいのだ。日本を代表する首相か、間もなく退位される天皇が望ましいと思う。(略)その方(天皇)は戦争犯罪に関わった主犯の息子ではないか。おばあさん(元従軍慰安婦)の手を握り、申し訳なかったと一言言えば、問題は解消されるだろう」
 二月九日にブルームバーグが伝えた韓国国会議長文喜相の発言に、日本政府は「不適切な部分がある」と抗議し謝罪・撤回を求めた。
 ただ、「不適切な部分」が現天皇に謝罪を期待したことなのか、それとも昭和天皇を戦争犯罪の主犯と呼んだことなのか、必ずしも明確ではない。もし前者の天皇による謝罪や韓国訪問などを期待する発言ならば、これまでも韓国側が何度も求めてきたことだ。
 日本の首相は平成の三十年間に十八人も入れ替わった。「日帝三十六年」の植民地化の歴史に関し韓国側が「日王」(天皇)に謝罪を求める動きは今後も絶えないだろう。
 天皇代替わり目前で日韓間に再燃した応酬には既視感があり、次代天皇の所謂「皇室外交」の先行きに不透明感と不安が頭をもたげる。戦後の象徴天皇七十余年の歩みの中で、所謂「皇室外交」の運用スキームが未だに確立して・・・