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経済

《クローズ・アップ》泉澤清次(三菱重工業次期社長)

社業窮地で登板する「超軽量人材」

2019年3月号

 超軽量新社長は、「宮永院政」のためのお飾りではないか―、そんな声が聞こえてくる泉澤清次・常務取締役(六十一歳)の昇格である。代表権のない会長に退くとはいえ、宮永俊一氏はなおも実権を手放さぬつもりのようだ。
 泉澤次期社長は本社の品質管理や技術企画、神戸造船所勤務、三菱自動車工業転籍など出身母体が固まらないまま、様々な部署を転々としてきた。大学も東京大学教養学部卒で、工学部でも法学部でもない中間的な存在。かつて長崎造船所が歴代社長を輩出したように、出身部門が生涯ついて回る三菱重工では異例のキャリアだ。
「幅広く、公平に全社部門をみる能力がある」と宮永氏は部門色がないことをプラスに説明するが、造船、航空・宇宙、重電、原子力、機械、社会インフラなど多くの部門が激しい競争を展開し、自己主張が強く、人事交流も少ないタコつぼ体質の三菱重工では、出身母体を持たないトップは有力部門からそっぽを向かれ、力を発揮しにくい。
 泉澤氏に立ちはだかる最初の壁はグローバル競争でも、トラブル続きの航空機部門でもなく、社内組織の因習だろう。
 ひとつの救いは三菱自動車での実・・・