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米朝「非核化ごっこ」は長続きしない

「プランB」を温存する米国

2019年3月号

 北朝鮮の非核化は、トップダウンの首脳外交でも遅々として進まない。「いつか来た道」をなぞるレベルにとどまっている。最大の要因は、トランプ政権が軍事的圧力行使に回帰する可能性を、北朝鮮が排除せず警戒しているためだ。いわゆるトランプ政権の「プランB」に対応するため、完全な非核化を留保しているのだ。
 米政界は二〇二〇年十一月の次期大統領選に向け既に動き出している。北朝鮮は米国の大統領選日程から逆算したシナリオを描き、トランプ政権から最大限の実利を引き出そうとする「取引」に臨んでいる。このシナリオには、トランプ大統領の「心変わり」という突発変数も仕込まれている。
 北朝鮮は、自らの非核化意思は揺るがないと再三表明している。「非核化はわれわれだけで実現するものではない」。北朝鮮関係者はトランプ政権による「相応の措置」があってこそ、非核化の具体的措置を講じる環境が生まれると繰り返し主張する。
「相応の措置」とは、経済制裁の緩和・解除よりも国交正常化への青写真だ。別の北朝鮮関係者は「非核化をせよ、との一方的な要求に応じたらどうなるのか。武装解除のような要求を受け入れた・・・