三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

台湾・蔡英文「公式訪米」の可能性

米中関係「新たな難題」が浮上

2019年3月号

 台湾の蔡英文総統は二月に米CNNテレビの単独インタビューで、二〇二〇年一月に予定される総統選挙への立候補を表明した。蔡氏は過去も講演で二期目を目指す意向を示しているだけに、台湾の有権者にとって出馬表明は驚く話ではない。むしろ、この重大ニュースを地元メディアではなく、米国の主要テレビを通じて発表した意味合いは大きい。蔡氏の外国メディア嫌いは台湾の政界で知らぬ者はいない。総統に就任してから三年近いが、外国メディアの取材を受けたことは数えるほど。それなのに、わざわざ米主要テレビで決意を示した対応に彼女の深謀遠慮が潜む。
 蔡氏は学者出身で、〇四年に当時の陳水扁総統に誘われて民進党に入党。従来の民進党支持者が展開する台湾独立運動と距離を置いてきた。穏便に任期を過ごしたい蔡氏の本音は、中国を刺激したくないというもの。そのため、政策を曖昧にして、国際社会への発信を極力避けているように映る。

「空芯菜」の汚名返上へ

 実際、発言の軌跡を辿ると、抽象的な言葉の多用が目立つ。台湾料理の定番である「空芯菜」(茎が空洞・・・