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ガンジー家「王女」政界進出の衝撃

モディ政権転覆への「最終兵器」

2019年3月号

「五つの州議会選挙で全敗」。ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)政権は年末、目を覆うばかりの報道に頭を抱えたが、さらなる激震が走る大ニュースが一月二十三日に飛び込んできた。「プリヤンカ・ガンジー・ヴァドラが全インド会議派委員会ウッタル・プラデシュ(UP)州東部の書記長に任命された」―。
 プリヤンカは、最大野党国民会議派の前党首ソニア・ガンジーの娘で、現党首ラフル・ガンジーの妹。「ネルー・ガンジー王朝」。国民は畏怖の念と皮肉を込めて、国民会議派を率いるこの一族をこう呼んできた。そのプリヤンカは長年政界入りが熱望されてきた。大票田であり、左派から右派の牙城へと様変わりしたUP州の攻略に、国民会議派は「『王女』の政界入り」という「最終秘密兵器」を投入したのだ。これはモディにとって痛恨の一撃になる。
 ガンジー家は人気の名門政治家ファミリーでありながら、暗殺や事故など相次ぐ悲劇から「インドのケネディ家」とも別称される。初代首相ネルーの長女インディラ・ガンジー、インディラの長男ラジーブのいずれも首相を歴任。ラジーブの妻でイタリア生まれのソニア・ガンジー氏がその・・・