三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

ロシア極東は 危険すぎる「荒廃地」

日ロ交渉「経済協力」の落とし穴

2019年2月号

 安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談が一月下旬、またも成果なく終わった。日本側に期待を抱かせ、梯子を外す常套手段だが、この間に北方領土はもとより、ロシア極東地域の腐食は進む一方だ。犯罪組織が支配し、貧困が定着する地域を、本当に日本は欲しいのか。

犯罪者と権力者は「同一人物」

 一月中旬、極東ハバロフスク地方にあるアムルスクという市を支配していた、ギャングの大ボスが病死した。
 真っ白な雪原の中を、数百人の葬列が進む。印象的な風景を撮影した、地元のブロガーが映像をネットに投稿した。すると、これを見た市民たちが葬列の中に複数の警察幹部、警察官を認めたのが、事件の発端だった。
 ロシア国内では、「いったい何事か」と議論が起きる中、逮捕されたのはブロガーのほうだった。同市管轄の内務省は、「事実無根の噂を広めて、警察の信用を貶めた」ことを逮捕理由に挙げた。
 これは、特異な事件ではない。ほとんど報じられていないが、極東・シベリア地域では、プーチン政権の権力機構と・・・