三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

独「緑の党」に潜み始めた極右

自然志向「バイオ・ナチ」が増殖

2019年2月号

 ドイツで環境政党「緑の党」の躍進が止まらない。昨年行われた二州の選挙で、連続して二位となり、全国の世論調査でも二〇%台の支持率で二位につける。「社会民主党(SPD)に代わる、新たな左派の盟主」との呼び声もあるが、寄り合い所帯の内実は複雑で、「ネオナチ」や、「バイオ・ナチ」と呼ばれる新たな層も潜入している。

連邦16州のうち9州で政権参加

「緑の党」の奇妙な人気を浮き彫りにしたのは、昨年十月十四日に行われたバイエルン州議会選挙だった。
 あるメディアが街頭で有権者に「どこの党に投票しますか?」と聞いていると、身なりの良い中年の男性が言った。
「私は保守だから、保守の『緑』に入れるよ」
「緑の党は保守ですか?」
「自分でそう言っているでしょ」
 緑の党は、確かに「自然を守る」や「社会を守る」を看板にするが、自らを「保守政党」と称したことはない。ただし、党が代表するイメージには、「健康な暮らし」「有機農業」「安全な食生活」があるため、「暮らしを守る党」と思われてい・・・