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経済

《地方金融の研究》高知信用金庫

有価証券投資で稼ぐ「バクチ経営」

2019年1月号

「信金業界のヘッジファンド」。金融関係者らの間ではこう異名をとる。
 高知市に本店を置く高知信用金庫のことだ。何しろ金融機関本来の業務である融資をほとんど行うことなく、預金として集めた資金の大半を株式や債券をはじめとした有価証券投資に振り向けて荒稼ぎするという「異様なビジネスモデル」(地銀大手幹部)。預金取扱機関に求められる金融仲介機能や信用創造機能はもとより、地域金融機関の社会的使命とされる「地方創生」をまるで放棄したかのような振る舞いに、金融当局筋や地元企業経営者らが投げかける視線はことのほか厳しい。
 八・四八%―。高知信金の歪さを端的に物語るのが、何といってもこの数字だろう。預金の何割を貸出に回したかを示す「預貸率」。その二〇一八年三月期末時点における実績だ。信金業界の平均が約五〇%となっている中にあってわずか一割にも満たない低水準。無論、断トツの最下位だ。一四年三月期末に初めて一〇%を割り込んで以来、ほぼ一貫して下がり続け、一八年三月期末は貸出金が前期比一・二%増えたものの、預金の伸びが同二・八%増とそれを上回って推移したため前期末の八・六一%から一段と低・・・