三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

習近平は「受難」の一年に

経済危機に苦悶する「堕ちた皇帝」

2019年1月号

 あらゆる権力を一手に握り、並み居る政敵はことごとく葬り、「皇帝」と化すかの勢いであった習近平国家主席に、陰りが差してきた。変調を示す兆候が、相次いで表出してきている。
 二〇一八年十二月十三日午後七時すぎ、中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた中国共産党中央政治局会議閉幕のニュースが、北京駐在の外国人記者たちを驚かせた。意外な内容は二つあった。一つは、習近平政権発足以来続けてきた、反腐敗キャンペーンを総括した言葉だ。
「党を厳しく管理する方針を継続したことによって、政治体制に新しい局面を切り開いた。反腐敗闘争はすでに圧倒的な勝利を手にした」との声明は、「党内の主な腐敗分子をすでに一掃した」との表向きの意味合いと同時に、政敵排除の打ち止め、手じまいの表明でもある。唐突な勝利宣言は、党の主要政策の転換と、権力構造の大きな変化を示唆している。
 一方で、同声明には「強大な国内市場を形成し、経済の全体的な水準を高める方針を固めた」との内容もあった。米中貿易戦争で今後、輸出が伸びなくなることを念頭に、内需拡大に力を入れていくことが強調された。
 北京在住・・・