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経済

嫌われ東京ガスの不安な「孤立」

会長・社長の「失態」が痛手に

2018年12月号

 あれから四カ月近くが経っても“疑念”は晴れていない。いや、むしろ、東京ガスをめぐる予感は“確信”に変わりつつある。
「広瀬さん(道明・東ガス会長)は業腹で仕方ないのだろう。その表われがあの報道だ」
 日本経済新聞の八月十日付記事を振り返りつつ、あるエネルギー関係者はこう指摘した。記事は、東ガスが出光興産、九州電力と三千億円超を投じ、出光の貯炭場遊休地(千葉県)に建設する石炭火力発電所を、LNG(液化天然ガス)へ燃料転換する検討に入ったという内容。石炭火力の温暖化ガス排出に対する環境省や金融界の批判を踏まえた判断だが、寝耳に水の報道に出光、九電は反発。とりわけ石炭輸入大手の出光は「どういうことだ!」と詰め寄り、東ガスは弁明に追われた。
 いったい誰が日経にリークしたのか―。東ガス社内に不審が広がる中、「もしかして……」と疑心暗鬼に駆られた幹部は少なくない。東ガスが二〇一五年三月、出光、九電と石炭火力の共同建設に合意したのは、当時の広瀬社長の決断なのだ。ところが、今年四月に後を襲った・・・