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習近平が難渋する「香港独立運動」

民主派弾圧で過熱する「反中」

2018年12月号

 香港の西九龍地区裁判所前で十一月十九日午前、黄色の傘を手にした二十、三十代の若者を中心に数百人が集まり、「無怨無悔」(恨み言も言わなければ後悔もしない)と大きく書かれた横断幕を掲げて、抗議活動をはじめた。
 この日、同裁判所では二〇一四年に香港で起きた民主派の大規模デモ「雨傘運動」を呼びかけた香港大学の戴耀廷准教授、香港中文大学の陳健民准教授、朱耀明牧師ら九人に対する初公判が行われた。若者たちはその支援者で、ほとんどが雨傘運動の参加者だった。彼らは「香港の次の世代のために英雄たちは刑務所に行く」などと叫び、戴氏らが有罪判決を受けることを覚悟していたようで、現場には悲壮感が漂っていた。

九人投獄で“殉教者”に

 戴氏らが起訴された容疑は、市民生活の妨害を扇動した罪などだった。彼らは一四年春から民主派候補が立候補できない現在の行政長官選挙の制度改革を訴え、香港政府に請願を繰り返したうえ、大学生らに、香港の中心部にある繁華街、中環などを占拠するデモを呼びかけた。
 デモ・・・