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経済

伊藤忠を腐らす「側用人政治」

「ユニファミマTOB」商社1位への妄執

2018年11月号


 売り手よし、買い手よし、世間よし―。この近江商人の「三方よし」の経営哲学を、伊藤忠商事の創業者、初代伊藤忠兵衛は生涯墨守したという。その精神には自らの利益を追うだけではなく、社会の幸せを願って初めて商売は成り立つという、〝福智〟のモラルが内包されている。しかし、利益競争に明け暮れてきた今の伊藤忠に、創業者の清尚の気風はどれほど残っているだろうか。
「その場に、弊社の鈴木はいなかったんです」
 十月十五日、本誌編集部を訪れた伊藤忠の執行役員広報部長、髙田知幸はこう言い募っていた。来訪の趣旨は、本誌十月号の「情報カプセル」記事への抗議である。
 記事は、九月のロシア・ウラジオストクの国際会議「東方経済フォーラム」で起きた〝事件〟を報じたものだ。最終日に首相の安倍晋三と同行経済人の記念撮影が行われた際、伊藤忠社長の鈴木善久が経済産業省OBの首相補佐官、長谷川榮一に「鈴木さんは外して。駄目だ!」と、独り排除されたのである。記事は官邸官僚の傍若無人な振る舞いを戒告する内容だったが、当の長谷川は本誌に「鈴木氏は記念撮影の場にいなかった」と誤報を訴えてきた・・・