「菅一強」政権への変貌
衰える安倍に代わる「官邸の主」
2018年11月号
「官房長官が午後十一時から緊急の記者会見を行う」―。こんなお触れがマスコミ各社に伝わったのは十月二十三日午後十時半過ぎ。当然のごとく「何の会見なのか」の臆測が乱れ飛ぶ。しかもこの日は国際社会を含めて官房長官が緊急会見しても不思議のないニュースに事欠かなかった。
サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギがイスタンブールのサウジアラビア総領事館で死亡した事件についてトルコ大統領のエルドアンが「サウジの計画的殺人」と断定したのもこの日。カショギ殺害にはサウジ政府の実権を握る皇太子ムハンマドの側近が関与していた。世界の石油市場に巨大な影響力を持つサウジをめぐる異様なスキャンダルに世界同時株安の懸念も膨らんだ。
何を考えているか分からない米大統領ドナルド・トランプによる中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄発言をめぐって、大統領補佐官ジョン・ボルトンがモスクワ入りした。米ソ冷戦構造の幕引きを先導した歴史的な条約の破棄が、日本の安全保障に決定的な影響を及ぼすのは避けられない。
国内に目を転じれば翌日の二十四日が臨時国会の召集日。日常茶飯事と言・・・