《クローズ・アップ》木藤俊一(出光昭和シェル社長)
「JXTG追撃」を託された実力者
2018年11月号
「三年間に社員の交流は進んでおり、ロケットスタートを切れる」
来年四月に発足する統合新会社(通称・出光昭和シェル)の社長に内定した出光興産の木藤俊一社長は、こう自信をみせた。二〇一五年に昭和シェル石油と経営統合に合意しながら、出光創業家の反発で三年を“空費”した難産の末の船出である。その間、両社は「対等の精神」による統合を唱え続けたが、新会社取締役の布陣をみれば、出光の主導は明らかだ。
代表権者四人は両社がそれぞれ二人ずつ出すものの、会長は出光の月岡隆会長に内定、社長に就く木藤氏とともにツートップを出光が独占する。昭シェルの亀岡剛社長は副会長にとどまる。すでに出光が昭シェルの三一%超の株式を握っている以上、出光の主導は既定路線とは言え、それでも、人事の調整に大きな軋轢がなかったのは、木藤氏の実績と人柄に負うところが大きい。
木藤氏は販売畑が長いが、経理・人事も担当し、製油所の勤務経験もあるオールラウンドプレーヤー。豪腕の月岡氏とは対照的に、人の話をよく聞く調整型だ。辞が低く、気配りに長じ、「社内外に敵がいない」と言われる。それ・・・
来年四月に発足する統合新会社(通称・出光昭和シェル)の社長に内定した出光興産の木藤俊一社長は、こう自信をみせた。二〇一五年に昭和シェル石油と経営統合に合意しながら、出光創業家の反発で三年を“空費”した難産の末の船出である。その間、両社は「対等の精神」による統合を唱え続けたが、新会社取締役の布陣をみれば、出光の主導は明らかだ。
代表権者四人は両社がそれぞれ二人ずつ出すものの、会長は出光の月岡隆会長に内定、社長に就く木藤氏とともにツートップを出光が独占する。昭シェルの亀岡剛社長は副会長にとどまる。すでに出光が昭シェルの三一%超の株式を握っている以上、出光の主導は既定路線とは言え、それでも、人事の調整に大きな軋轢がなかったのは、木藤氏の実績と人柄に負うところが大きい。
木藤氏は販売畑が長いが、経理・人事も担当し、製油所の勤務経験もあるオールラウンドプレーヤー。豪腕の月岡氏とは対照的に、人の話をよく聞く調整型だ。辞が低く、気配りに長じ、「社内外に敵がいない」と言われる。それ・・・