《罪深きはこの官僚》山口英彰(水産庁次長)
「骨抜き漁業改革」で 税金バラマキ
2018年11月号
日本の農政に禍根だけを残した農林水産省の前事務次官、奥原正明。「続投して三年目に突入」という野望も空しく奥原は今夏、農水省を去った。しかしその前次官の置き土産のような骨抜き漁業改革がしぶとく生き残り、実行に移されようとしている。水産庁で奥原の「遺志」を継ぐかのように蠢いているのが次長の山口英彰だ。
福岡県立修猷館高校出身の山口は東京大学に進学後、一九八五年に法学部を卒業し農林水産省に入省した。主に農業経営に関する経営局でキャリアを積んだほか、林野庁や首相官邸などにも出向し、二〇一六年六月からは大臣官房の総括審議官を務めていた。
奥原次官体制が二年目に突入した一七年七月の人事で現在のポストに送り込まれた。このときの人事で、水産庁トップになったのが現在も長官を務める長谷成人だ。長谷は北海道大学水産学部出身の技官。通常は文系キャリア官僚が独占してきた長官に、生え抜き技官が就いた異例の人事だった。農水省担当ベテラン記者が語る。
「農協、農林中金改革の次に漁業、漁協改革に手をつけようとしていた奥原の采配。水産庁生え抜き職員の反発を抑え込もうとしたの・・・