中国「IT製造業」は存続の危機
影響甚大な米「スパイチップ事件」
2018年11月号
出口がまったく見えなくなった米中貿易戦争のあおりを受け、対米輸出を中心とする中国国内の工場が、米国の追加関税を逃れる目的で国外移転を始めた。行き先はベトナム、ミャンマー、フィリピン、インドなど様々で、かつて円高を受けて日本が経験したのと瓜二つの産業空洞化が進行している。この空洞化がもたらす輸出減退、成長鈍化は中国にとって深刻だが、それに輪をかけるように起きたのが「スパイチップ事件」だ。アップル、アマゾンなど米国企業が使う中国製サーバーなどに仕込まれたといわれる情報を抜き取るチップ。中国製工業製品すべてが疑われれば、製造業の中国脱出は止めようがなく、貿易戦争以上の危機となる。
台湾メーカーが堂々の撤退宣言
トランプ大統領の仕掛けた対中貿易戦争以降も中国の輸出は好調を続けている。紛争が勃発したのは今年三月だが、翌月以降、対米輸出の前年同月比の伸びは一〇~一一%台を維持、二〇一六年に比べ輸出の伸びは高い。八月に九・八%増に鈍化すると、いよいよ米中貿易戦争の影響が出始めたか、と思われたが、九月には一四・五%増と再・・・
台湾メーカーが堂々の撤退宣言
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