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WORLD

EU諸国で進む「親中化」

欧州政界をカネで籠絡する習近平

2018年11月号

「日本を不沈空母にする」と中曽根康弘首相が発言したのは三十五年前の一九八三年のことだ。
 今年、欧州連合(EU)加盟国のチェコが「我が国は中国の不沈空母になる」と言い出した。EUの大国イタリアは、「一帯一路構想の欧州側パートナーになりたい」と言う。中国の欧州経済への進出が続く中で、中国はEU中枢の政治家たちまで続々と抱き込んでいる。

「イタリアの中国ピボット」

 ブリュッセルの外交官たちが「やはり、そこから攻めるか」とうなったのは、「五つ星運動」と「連合」で構成する、イタリアのポピュリスト連立政権に、中国政財界が微笑攻勢をかけていることだ。ルイジ・ディ・マイオ副首相兼労働相(五つ星)とマテオ・サルヴィーニ副首相兼内相(連合)のコンビは、財政難なのにバラマキをしたいという、現行のEUの枠組みでは実現不可能な欲求にかられている。そこへ中国が「助けよう」と接近した。
 十月中旬には、ジョヴァンニ・トリア経済相が「中国投資有限責任公司(CIC)」の屠光紹・総経理とミラノで会談。今年末までに中・伊両・・・