北極圏でも激化する米中「覇権争い」
要衝「グリーンランド」が焦点に
2018年11月号
昨年五月三十日の昼過ぎ、グリーンランドの北極圏に位置するカンゲルルススアクの飛行場近くのレストランで、奇妙な集会が開かれた。当日、会場で配られた式次第によると、集会の名は「グリーンランド中国衛星受信地上施設打ち上げ式」とある。
この「中国衛星受信地上施設」とは、「気象変動観測用」のアンテナとされ、高さ七メートル。カンゲルルススアクの南にある地元自治政府の首都・ヌークの電話会社「Tele-Post」の施設隣に建設するにあたっての、「打ち上げ式」とされた。
何か国家レベルのセレモニーのような印象を受けるが、百人ほどの出席者の大半は、午前中にデンマークのコペンハーゲンから飛行機で到着した中国の「ツアー観光客」。グリーンランドを代表して参加したのは二人だけで、時間もわずか三十分ほど。「観光客」は午後の日程に用意されたクルーズ船に乗り込むため、終了後にヘリコプターで同空港から飛び立った。
だがこの日の集会は、はからずも北極に向けた中国の飽くことなき野望を見せたはずだ。特に注目されたのは、北京師範大学の「地球変化地表システム科学研究所」の所長で、北極の研究では・・・
この「中国衛星受信地上施設」とは、「気象変動観測用」のアンテナとされ、高さ七メートル。カンゲルルススアクの南にある地元自治政府の首都・ヌークの電話会社「Tele-Post」の施設隣に建設するにあたっての、「打ち上げ式」とされた。
何か国家レベルのセレモニーのような印象を受けるが、百人ほどの出席者の大半は、午前中にデンマークのコペンハーゲンから飛行機で到着した中国の「ツアー観光客」。グリーンランドを代表して参加したのは二人だけで、時間もわずか三十分ほど。「観光客」は午後の日程に用意されたクルーズ船に乗り込むため、終了後にヘリコプターで同空港から飛び立った。
だがこの日の集会は、はからずも北極に向けた中国の飽くことなき野望を見せたはずだ。特に注目されたのは、北京師範大学の「地球変化地表システム科学研究所」の所長で、北極の研究では・・・