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連載

《世界の キーパーソン》サジド・ジャビド(英国内相)

史上初「イスラム教徒首相」を狙う

2018年10月号

 終わりが見えずに延々と迷走する、ブレグジット劇。テリーザ・メイ首相が乾坤一擲の大勝負、と提案した英国側の欧州連合(EU)離脱案は九月二十日、オーストリア・ザルツブルクの首脳会議で「二十七対一」で砕け散った。
 翌二十一日になって、「ダウニング10(首相府)が緊急声明を出す」という知らせが議会を駆け回ると、保守党内にはパニックが起きた。「首相退陣か、議会解散か」。事態はそれほど切迫して見えたが、首相声明はどちらでもなく、前日のEU側の態度をなじるものだった。保守党議員たちはみなグラスに手を伸ばして安堵したという。
「政局をどう読んでいいのか誰も分からない。当日の英メディアは『これから起きること』のシナリオを列挙するしかなかった」と、在英外交筋は言う。決まっているのは十月十八、十九日と十二月十三、十四日のEU首脳会議と、来年三月二十九日の「脱退日」だけだ。そのどこかで首相も退陣する。
 情けないことに、現在の保守党は「次」が分からない。離脱推進派が九月にまとめた「次期首相候補リスト」には何と十五人が挙がった。自分たちが望むボリス・ジョンソン前外相を「最有力」・・・