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連載

西風449

外国人を惹きつける「商店街文化」

2018年10月号

「天神さん」の愛称で親しまれる大阪天満宮。この表参道にあるのが「日本一長い」といわれる天神橋筋商店街だ。全長二・六キロメートルという、先も見通せないアーケードの両脇には約六百もの商店が並び、シャッターが下りた店舗もほとんど見当たらない。通りでは、大阪のテレビ局による街角レポートやロケが頻繁に行われ、常に人でごった返す。
 この商店街でも九月上旬以降、異変が起きた。同月四日に関西エリアを襲った台風二十一号によって、浸水被害や連絡橋を損傷した関西国際空港が閉鎖され、外国人観光客が激減したのだ。
 大阪には商店街が多い。キタやミナミの巨大商業施設が客を集める一方で、昔からの商店街にも人が絶えない。「共存・共栄」といえば綺麗ごとにも聞こえるが、現にいまでも、市内には大小五百もの商店街が残っているという。これは東京二十三区の二倍ともいわれ、天神橋筋とは逆に「日本一短い」を標榜する肥後橋商店街も大阪にある。
 大阪の商店街の特徴はなんといってもアーケードだ。主要な商店街はほとんど屋根つきになっており、雨の日でも傘が不要だ。その多くが高度成長期に整備されたもので、一説に・・・

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