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社会・文化

仮想通貨と山口組「弘道会」

闇社会の「金鉱脈」が野放しに

2018年10月号

 昨年初めは十一万円だった価格が十一月に百万円、そして十二月には二百万円と急騰したのが仮想通貨の代表格「ビットコイン」だった。他の仮想通貨の中には二百倍以上にも跳ね上がったものもあり、世界中で“仮想通貨長者”が生まれた。
 今年に入りビットコインの価格が百万円を割り込み(九月二十日現在、およそ七十二万円)、その一方、仮想通貨交換業者「コインチェック」から五百八十億円もの仮想通貨「NEM(ネム)」が不正流出する事件も起きた。たしかに、一時のバブルは去ったかに見える。けれども、時代を画する新たな“金鉱脈”には今も有象無象が群がっている。その代表がカネのにおいに敏い暴力団関係者たちだ。
 四月六日、金融庁より三月八日に業務停止命令を受けていた仮想通貨取引所「bit station」を運営するビットステーションが廃業を発表した。幹部が顧客の仮想通貨を私的流用していたとして処分を受け、体制の立て直しを図っていた最中の廃業だった。
 顧客の仮想通貨、円の払い戻しは滞りなく行われている(事実については後述)としているが、ビ・・・